請求書を送ったのに支払期日を過ぎても入金されない——。経理担当者であれば一度は経験するシーンではないでしょうか。
ただし、取引先への督促は「強く言いすぎて関係を悪化させたくない」「いつ、どんな方法で連絡すべきか分からない」と判断に迷うことも多いものです。
本記事では、請求書の督促を段階別にどう進めればよいかを、メール文例・督促状テンプレートから内容証明郵便・時効・法的措置まで、実務目線でまとめて解説します。
請求書の督促とは
請求書の督促とは、支払期日を過ぎても入金が確認できない取引先に対して、支払いを求める一連の行為を指します。電話やメールでの問い合わせから、督促状の送付、内容証明郵便、さらに法的措置まで、対応の強さは段階的に上がっていきます。
催促・督促・催告の違い
似た言葉に「催促」「督促」「催告」がありますが、ニュアンスが少しずつ異なります。
| 用語 | 強さ | 主なタイミング |
|---|---|---|
| 催促 | 弱(やわらかい) | 支払期日直後の確認 |
| 督促 | 中(明確に要求) | 催促しても入金されないとき |
| 催告 | 強(法的措置の予告含む) | 督促しても支払いがないとき |
実務上は「催促 → 督促 → 催告 → 法的措置」の順で対応が強くなっていく、と理解しておけば十分です。
督促前に必ず確認すべき3つのこと
督促の連絡を入れる前に、まず自社側に問題がないかを確認します。慌てて連絡してしまい「実は自社のミスでした」となると、信頼関係に大きく影響します。
1. 請求書が正しく届いているか
メールで送信した場合は配信エラーになっていないか、郵送した場合は宛先に間違いがないかを確認します。担当者が変わっている、部署異動で受け取れていないケースも少なくありません。
2. 請求内容に誤りがないか
金額・振込先・支払期日に誤りがあると、相手は確認のため支払いを保留している可能性があります。請求書の控えを再確認しましょう。
3. 入金確認に漏れがないか
入金されているのに自社の確認が漏れていた、というケースもあります。督促前に必ず口座を再確認してください。
請求書の督促フロー|4段階で進める
督促は、相手との関係性や金額に応じて段階的に進めるのが原則です。最初から強い文面を送ると、行き違いだった場合に取引先との信頼関係を損ねるおそれがあります。逆に弱いトーンを繰り返しても、相手に重大さが伝わりません。段階を踏んで強さを少しずつ上げていくことが、督促実務の基本です。
Step1:電話・メールで穏便に確認する
支払期日から数日経過した時点で、まずは電話やメールで「行き違いの可能性」を前提に確認します。
Step2:督促状(書面)を送付する
メール・電話で反応がない、または明確な支払い意思が示されない場合は、書面の督促状を送付します。
Step3:内容証明郵便を送る
それでも支払いがない場合は、内容証明郵便で督促します。「いつ・誰が・誰に・どんな内容を送ったか」を郵便局が証明してくれるため、後の法的措置の証拠になります。
Step4:法的措置を取る
最終手段として、支払督促・少額訴訟・通常訴訟などの法的措置を検討します。
それぞれの段階を、テンプレート付きで詳しく見ていきます。
Step1:請求書の督促メールはいつ・どう送る?【シーン別3パターン】
電話よりも記録が残るメールでの督促が一般的です。
ここでは段階の異なる3つのテンプレートを紹介しますが、最初から「2回目」「最終」のテンプレートを送るのは避けてください。原則として「初回 → 1週間後に2回目 → さらに数日経って最終」と段階を踏みます。1回目の連絡で強く出てしまうと、行き違いだった場合に取引先との関係を損ねます。
パターン1:初回の督促メール(穏やか)
送るタイミング:支払期日の翌日〜3営業日後
送る相手:請求書を送付した担当者(不明な場合は経理部宛て)
ポイント:「行き違いの可能性」を前提に書く。請求や催促という強い言葉は避け、「ご確認」のトーンに留める
件名:【ご確認のお願い】◯月分ご請求書のお支払いについて
株式会社○○
○○部 ○○様いつも大変お世話になっております。
株式会社△△の□□でございます。◯月◯日付けでお送りいたしました請求書(請求書番号:XXXX)について、
本日時点で弊社にて入金の確認ができておりません。お振込みがお済みの場合は、本メールと行き違いとなっておりましたら
何卒ご容赦くださいませ。万一お手元に請求書が届いていない、ご不明点等ございましたら、
お手数ですが本メールへご返信いただけますと幸いです。ご確認のほど、よろしくお願い申し上げます。
返信がなかった場合の次アクション:3〜5営業日待っても返信がなければ、電話で直接担当者に確認します。電話でも繋がらない場合はパターン2に進みます。
パターン2:2回目の督促メール(明確に要求)
送るタイミング:初回送信から1週間ほど経過、または初回送信後の電話確認でも入金が確認できない場合
送る相手:担当者本人 + 経理部または担当者の上長をCCに入れる
ポイント:新たな支払期日を具体的な日付で明示する。社内の関係者(CC先)にも見えるようにすることで、組織として認識される
件名:【再送】◯月分ご請求書のお支払いに関するお願い
株式会社○○
○○部 ○○様お世話になっております。株式会社△△の□□です。
◯月◯日にご連絡いたしました請求書(請求書番号:XXXX)について、
本日時点でも入金の確認ができておりません。つきましては、誠に恐縮ですが◯月◯日までにお振込みいただきますよう、
お願い申し上げます。お支払いが難しい事情がございましたら、
今後の対応についてご相談させていただきたく存じます。
お手数ですがご返信いただけますと幸いです。
返信がなかった場合の次アクション:指定期日の翌営業日にパターン3を送付します。並行して、自社内で督促状(書面)の準備を始めます。
パターン3:最終確認メール(法的措置の予告)
送るタイミング:2回目の指定期日を過ぎても入金・返信がない場合
送る相手:担当者本人 + 経理責任者または担当者の上長をCCに入れる(先方代表者への直接連絡は関係悪化リスクが大きいため、原則として避ける)
ポイント:書面(督促状)に切り替える前の最終通告として送る。期日と次のアクション(書面送付・法的措置の検討)を明示する
件名:【最終ご確認】◯月分ご請求書のお支払いについて
株式会社○○
○○部 ○○様お世話になっております。株式会社△△の□□です。
◯月分のご請求(請求書番号:XXXX、金額:¥XXX,XXX)について、
これまで複数回にわたりご連絡を差し上げておりますが、
本日時点で入金およびご返信を確認できておりません。つきましては◯月◯日までにご対応いただけない場合、
書面にて改めてご請求させていただくとともに、
法的手段を含めた対応を検討せざるを得ません。事情がございましたら、◯月◯日までに必ずご連絡くださいますよう、
お願い申し上げます。
督促メールで押さえるべきポイント
- 件名に「ご請求」「ご確認」を明記:迷惑メールに紛れにくくなります
- 請求書番号・金額・支払期日を必ず記載:相手が確認しやすくなります
- クッション言葉を入れる:「行き違いの場合はご容赦ください」などで角を立てない
- 送信時間は午前中が望ましい:相手が当日中に対応しやすい
- 金曜夕方・連休前・月曜午前は避ける:埋もれて見逃される可能性が高い
ケース別の応用パターン
請求書が届いていないと言われた場合
請求書未達が原因と判明したら、督促ではなく請求書の再送として対応します。再送する書類には、自社の経理ルールに従って「再送」「再発行」など二重請求を防ぐ表示を入れ、原本との差分管理を社内で行います(呼称や運用は会社ごとに異なるため、自社の会計・経理ルールを優先してください)。新たな支払期日を提示することも忘れずに。
件名:【再送】◯月分ご請求書(請求書番号:XXXX)
ご連絡いただきありがとうございます。請求書を再送いたします。
お手数をおかけし申し訳ございません。支払期日:令和◯年◯月◯日(再送日から◯営業日後を新たに設定)
担当者が不在・退職している場合
担当者本人と連絡が取れない場合は、所属部署(経理部または営業窓口)宛てに送り直します。件名に「ご担当者様」を入れ、本文で過去の連絡履歴(送信日・請求書番号)を明記して引き継ぎやすくします。
相手から「分割払いにしたい」と相談があった場合
支払能力に問題があるサインなので、安易に拒否せず書面で合意を残すのが鉄則です。返信例:
件名:Re: 分割でのお支払いについて
ご連絡ありがとうございます。
ご事情お察しいたします。つきましては、以下の内容でご対応可能か社内で検討いたしますので、
ご希望の分割回数・各回お支払い金額・お支払日をお知らせください。ご回答のうえ、双方合意ができましたら、
別途「支払合意書」をお送りいたしますので、ご捺印のうえご返送ください。
合意書(または覚書)の作成は、後日トラブルになった場合の重要な証拠になります。
Step2:メールで反応がないときは?督促状(書面)の書き方とテンプレート
メールに反応がない場合は、書面で督促状を送付します。郵送することで「確かに送った」という事実が残り、相手にも事の重大さが伝わります。
督促状に必須の記載項目
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発行日 | 督促状を作成した日付 |
| 宛先 | 取引先の会社名・部署・担当者名 |
| 差出人 | 自社名・所在地・連絡先 |
| 表題 | 「督促状」「お支払いのお願い」など |
| 取引内容 | 請求書番号・取引日・取引内容 |
| 請求金額 | 未払いの金額 |
| 支払期限 | 新たに設定する期限 |
| 振込先 | 入金口座 |
| 法的措置の告知 | 期限内に支払いがない場合の対応 |
督促状テンプレート①:穏やか版(初回送付向け)
メールでの督促が反応薄かった段階の最初の書面として、関係性を保ったままトーンを上げる目的で使います。
令和◯年◯月◯日
株式会社○○
○○部 ○○ ○○ 様株式会社△△
〒XXX-XXXX
東京都○○区○○ X-X-X
代表取締役 □□ □□
TEL:03-XXXX-XXXXお支払いのお願い
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。さて、令和◯年◯月◯日付けでご請求申し上げました
下記ご請求金額につきまして、
お支払期日を過ぎましても本日現在ご入金の確認ができておりません。ご多忙のところ恐縮ではございますが、
ご確認のうえ令和◯年◯月◯日までにお振込みくださいますよう、
お願い申し上げます。なお、本状と行き違いにてご入金いただいておりました場合は、
何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。記
請求書番号:XXXX
取 引 日:令和◯年◯月◯日
ご請求金額:金 ◯◯◯,◯◯◯ 円(税込)
お支払期限:令和◯年◯月◯日
お振込先 :○○銀行 ○○支店 普通 XXXXXXX
敬具
督促状テンプレート②:強め版(最終警告・法的措置の予告含む)
穏やか版を送っても反応がない場合、内容証明郵便に切り替える前の最終警告として送ります。トーンは事務的にし、新たな期日と法的措置の検討を明示します。
令和◯年◯月◯日
株式会社○○
代表取締役 ○○ ○○ 様株式会社△△
〒XXX-XXXX
東京都○○区○○ X-X-X
代表取締役 □□ □□
TEL:03-XXXX-XXXXご請求金額のお支払いについて(最終ご通知)
弊社では、令和◯年◯月◯日付請求書(請求書番号:XXXX)
ご請求金額 金◯◯◯,◯◯◯円につきまして、
これまで複数回にわたりお支払いのご連絡を差し上げてまいりましたが、
本日現在、ご入金およびご回答を確認できておりません。つきましては、本書面到達後7日以内である
令和◯年◯月◯日までに、下記口座へお振込みくださいますよう
重ねてお願い申し上げます。万一、上記期日までにお支払いまたはご連絡をいただけない場合、
誠に遺憾ながら、弁護士への依頼および
支払督促・少額訴訟等の法的手続きを検討せざるを得ません。
あらかじめご了承くださいますようお願い申し上げます。記
請求書番号:XXXX
取 引 日:令和◯年◯月◯日
ご請求金額:金 ◯◯◯,◯◯◯ 円(税込)
お支払期限:令和◯年◯月◯日(本書面到達後7日以内)
お振込先 :○○銀行 ○○支店 普通 XXXXXXX以上
督促状テンプレート③:内容証明郵便向け
内容証明郵便は字数・行数の制限があるため、装飾を省いた事務的な文面にします。遅延損害金の請求を明記する場合は、相手方に対する意思表示の内容を一義的に伝えるのがポイントです。
催 告 書
令和◯年◯月◯日
株式会社○○
代表取締役 ○○ ○○ 殿株式会社△△
〒XXX-XXXX
東京都○○区○○ X-X-X
代表取締役 □□ □□貴社に対する下記売掛金について、
お支払期日を経過した本日現在も入金が確認できません。
よって、本書面到達後7日以内に、
下記金額および同日までに発生する遅延損害金を
下記口座へお支払いいただくよう催告いたします。万一、上記期日までにお支払いいただけない場合は、
法的措置を取らせていただきますことを申し添えます。記
請求書番号:XXXX
取 引 日 :令和◯年◯月◯日
請求金額 :金 ◯◯◯,◯◯◯ 円
遅延損害金:年◯%(契約書第◯条による/または法定利率)
支払期限 :本書面到達後7日以内
振 込 先:○○銀行 ○○支店 普通 XXXXXXX以上
督促状を送るときの実務上の注意点
- 請求書のコピーを同封する:自社の経理ルールに従い「写し」「再発行」など二重請求とならない表示を入れる(呼称は会社ごとに運用が異なるので、自社ルールを優先)
- 封筒に「親展」と記載:担当者本人に開封してもらえます
- 配達記録郵便・特定記録郵便を活用:受取の証拠を残せます
Step3:内容証明郵便はいつ使う?
書面の督促状でも反応がない場合は、内容証明郵便を使います。なお、内容証明郵便そのものは「いつ、誰が、誰に、どんな内容で送ったか」を郵便局が証明する郵便の一形態であり、それ自体に強制力はありません。
内容証明郵便のメリット
- 送付した内容を郵便局が証明:「言った・言わない」のトラブルを防止
- 時効の完成猶予の効果:相手方への到達後、原則として6か月間「時効の完成猶予」が認められる(民法第150条「催告」)。ただし、猶予期間中に裁判上の請求等を行わないと、最終的な時効中断にはつながらない
- 心理的プレッシャー:受け取った相手に「本気度」が伝わる
記載のコツ
文面は Step2 で紹介した「督促状テンプレート③:内容証明郵便向け」を流用してください。通常の督促状に加えて、以下を明記するのがポイントです。
- 「本書面到達後◯日以内」など具体的な期限
- 法的措置の具体的な内容(支払督促、少額訴訟など)
- 遅延損害金の請求(契約書に定めがあればその利率、なければ法定利率)
Step4:最終手段は?法的措置3つの選択肢
ここまで対応しても支払いがない場合、法的措置を検討します。代表的な選択肢は次の3つです。なお以下は一般論であり、個別の事案では適切な手続きが異なります。実際に着手する前に、必ず弁護士・司法書士などの専門家にご相談ください。
| 手段 | 対象金額 | 特徴 |
|---|---|---|
| 支払督促 | 制限なし | 申立て手数料が訴訟の半額。書類審査のみ |
| 少額訴訟 | 60万円以下 | 原則1日で結審。年10回まで利用可 |
| 通常訴訟 | 制限なし | 時間・費用がかかるが、複雑な事案も対応 |
支払督促
簡易裁判所に申し立てると、書類審査のみで裁判所から相手に支払督促が発せられます。相手が2週間以内に異議を申し立てなければ、強制執行が可能になります。
少額訴訟
60万円以下の金銭トラブルに限定された、簡易な訴訟手続きです。原則1回の審理で判決が出ます。
通常訴訟
支払督促に異議申し立てがあった場合や、争点が複雑な場合は通常訴訟に移行します。弁護士への依頼を検討するのがおすすめです。
請求書(売掛金)の消滅時効は何年?
2020年4月施行の改正民法では、債権の消滅時効は原則として5年とされています。具体的には「権利を行使できることを知った時から5年」または「権利を行使できる時から10年」のいずれか早い方が原則です(民法第166条)。商取引の売掛金は通常、請求書発行や支払期日の到来によって「権利を行使できることを知った」状態になるため、実務上は5年が一つの目安になります。
時効が完成し相手方が援用(時効を主張)した場合、法的な請求が困難になります。長期間放置している未払いがあれば、内容証明郵便の送付などで早めに「時効の完成猶予」措置を取ることが重要です。
請求書督促ならではの実務ポイント
「請求書の督促」は、ただ書面を送るだけでなく、社内の請求管理プロセスとセットで動かす必要があります。
売掛管理台帳との照合を徹底する
督促対象を抽出する基本は、売掛管理台帳と入金実績の突合です。
- 請求書発行 → 売掛計上 → 入金消込の流れが揃っているか
- 同じ取引先で複数の請求書がある場合、どの請求書が未入金なのかを特定
- 一部入金(分割)の場合は、台帳と入金額の差額を明示
督促時に「請求書番号XXXX、金額XXX円、支払期日◯月◯日が未入金」と請求書を一意に特定して伝えることで、相手の確認作業が一気に楽になります。
「請求書再送」と「督促状」を使い分ける
請求書未達が原因の場合は督促状ではなく請求書の再送で対応します。再送時は必ず以下に注意してください。
- 自社の経理ルールに従って原本との区別表示を入れる:「再送」「再発行」「写し」など具体的な呼称・運用は会社ごとに異なるため、まず自社ルールを確認する
- 原本との差分管理を行う:再発行した場合は社内台帳に記録し、相手側で二重請求扱いにならないよう注意
- 振込先・支払期日は最新情報に更新:相手が混乱しないようにする
これを怠ると、相手側で二重請求として処理されたり、原本と再送分の両方が支払われる事故につながります。
営業担当との連携を必ず取る
経理担当が督促を始める前に、必ず営業担当に共有してください。
- 営業側で支払い遅延の事情を把握している可能性(納品トラブル、検収待ちなど)
- 取引継続中の場合、経理からの督促が営業の関係性に影響する場合がある
- 大口・重要取引先の場合は、営業ルートでのフォロー(必要に応じて上位者間での連絡)を検討する余地がある
「経理は督促状を送付済み、営業は別ルートで連絡中、双方とも連絡なし」という状況を防ぐためにも、社内で督促ログ(誰が・いつ・どの方法で連絡したか)を一元管理しておくことが重要です。担当者交代があってもスムーズに引き継げ、後に法的措置に進む際の証拠にもなります。
取引関係を壊さない督促のコツ
督促は強く言えばよいというものではありません。今後も取引を続ける可能性があれば、関係性に配慮した対応が必要です。
1. 初回はあくまで「確認」のトーンで
「行き違いかもしれませんが」「ご多忙のところ恐縮ですが」といったクッション言葉で、相手の状況を尊重する姿勢を示します。
2. 相手の事情をヒアリングする姿勢を持つ
支払いが滞っている背景には、資金繰りの問題や社内の承認フロー遅延など、さまざまな事情があります。一方的な督促ではなく、状況を確認する姿勢を見せることで、分割払いなど現実的な解決策が見つかることもあります。
督促を未然に防ぐ請求管理のポイント
そもそも未払いを発生させないことが、督促業務を減らす最大の方法です。
- 支払期日を請求書に明記:あいまいな「月末締め翌月末払い」だけでなく、具体的な日付を記載
- 請求書の送付ミスを防ぐ:宛先・担当者を毎月確認、メール送付なら開封確認
- 入金管理を自動化:請求書管理ツールで入金状況を可視化し、未入金をすぐに把握
- 取引開始時に与信を確認:高額取引の場合は信用調査会社の活用も検討
よくある質問(FAQ)
督促状に法的効力はありますか?
督促状そのものに、直接的な強制力(強制執行などを発生させる効力)はありません。あくまで「支払いを求める意思表示」の書面です。
内容証明郵便で送付した督促状は、民法上の「催告」として原則6か月間「時効の完成猶予」が認められます(民法第150条)。ただし、この猶予期間内に訴訟提起・支払督促などの法的措置を取らないと、最終的な時効の更新(中断)にはつながりません。「内容証明を送っただけで安心」ではない点に注意してください。
督促メールはいつ送ればよいですか?
一般的には支払期日から1〜3営業日経過した時点で初回の確認メールを送ります。早すぎると相手の事務処理が間に合っていない可能性があり、遅すぎると入金管理がルーズな会社と見なされかねません。
業務時間外や金曜夕方は避け、相手が当日中に対応しやすい平日の午前中に送るのが基本です。
督促状と「支払督促」はどう違いますか?
「督促状」は、自社から取引先に対して送る任意の書面です。一方、「支払督促」は簡易裁判所を通じて行う法的手続きで、相手が2週間以内に異議を申し立てなければ強制執行が可能になります(民事訴訟法第382条以下)。
「督促状を送っても反応がない → 支払督促を申し立てる」という順序で進むのが一般的です。
督促状を無視されたら、次に何をすべきですか?
通常の督促状で反応がない場合、次のステップは内容証明郵便での督促です。それでも入金されない場合は、支払督促・少額訴訟・通常訴訟などの法的措置を検討します。
事案によっては、弁護士や司法書士、債権回収会社(サービサー)への相談も選択肢になります。
督促時に遅延損害金は請求できますか?
支払期日を過ぎた金銭債権については、一般に遅延損害金の請求が問題になります。利率は契約書に定めがあればその利率、定めがなければ法定利率(2026年5月時点で年3%。3年ごとに見直し)が一つの目安となります。
ただし、具体的に請求できるかどうかは契約内容(遅延損害金条項の有無)・当事者の属性(事業者間取引か否か)・取引慣行などにより整理が必要です。請求の可否や金額に疑義がある場合は、自己判断せず弁護士などの専門家に確認してください。
なお実務上は、長年取引している相手にいきなり遅延損害金を請求すると関係を悪化させるため、督促段階ではあえて記載せず、法的措置の段階で明示するケースも多くあります。
督促タイムライン|明日から実行できるチェックリスト
「いつ・何をすればよいか」を一目で確認できるよう、督促のタイムライン例をまとめました。
また、「支払期日 当日」は社内確認のみを意図しています。対外的な督促連絡は通常、翌営業日以降からが望ましいタイミングです。
| タイミング | アクション | 使うもの |
|---|---|---|
| 支払期日 当日(社内確認のみ) | 入金未確認の場合、自社台帳と銀行入金を再確認。この時点で取引先への対外連絡は行わない | 売掛管理台帳 |
| +1〜3営業日 | 初回確認メール(穏やか) | メール文例 パターン1 |
| +4〜5営業日 | 電話で担当者に直接確認 | 電話 |
| +7〜10日 | 2回目督促メール(経理部・上長CC、期日明示) | メール文例 パターン2 |
| +14日前後 | 最終確認メール(書面送付を予告) | メール文例 パターン3 |
| +21日前後 | 書面の督促状を郵送(特定記録郵便) | 督促状テンプレート①/② |
| +30日前後 | 内容証明郵便を送付(法的措置の予告含む) | 督促状テンプレート③ |
| +45日以降 | 弁護士・司法書士に相談し、法的措置を検討 | 支払督促・少額訴訟など |
まとめ
請求書の督促は、段階を踏んで対応するのが基本です。
- 督促前に自社側のミスがないか確認
- Step1:電話・メールで穏便に確認(パターン1〜3)
- Step2:書面の督促状を送付
- Step3:内容証明郵便で証拠化と時効の完成猶予
- Step4:法的措置(支払督促・少額訴訟・通常訴訟)を専門家と検討
トーンは段階的に強くしつつ、取引関係への配慮も忘れずに対応しましょう。また、債権の消滅時効は原則5年とされているため、長期放置している未払いがあれば内容証明郵便などで早めに「時効の完成猶予」措置を取り、必要に応じて専門家に相談することが重要です。
何より、督促が発生しないよう日頃の請求管理を整えることが、経理業務を効率化する最大のポイントです。









