印紙税・収入印紙の金額一覧と判定フロー|契約書・領収書ごとの計算方法と軽減税率特例を実務目線で解説

「業務委託契約書に印紙を貼るのは4,000円?」「領収書は5万円から?」「不動産売買契約書の軽減税率って終わるんだっけ?」——契約書や領収書を作るたびに、印紙税の判定で手が止まる経理担当者・士業の方は多いのではないでしょうか。

印紙税は「契約金額ごとに段階的に金額が決まる」シンプルな仕組みに見えますが、実務では文書の号別判定(第◯号文書)、軽減税率の適用要否、業務委託契約書の請負/準委任の判定など、いくつもの分岐があります。

本記事では、契約書・領収書ごとの印紙税額一覧と判定フローを、国税庁の根拠タックスアンサーをベースに整理します。

文書種別と金額を選ぶだけで即計算
文書の号別を選んで金額を入力するだけで、印紙税額を即座に表示できるPASELLYの「印紙税・収入印紙 計算ツール」を無料で公開しています。第1・2・5・7・12〜15・17号の主要文書と、軽減税率特例(不動産売買・建設工事)に対応しています。

こんな方は表を読み込まずにツールで直接確認するのが早いです:

  • 契約書・領収書にいくらの印紙を貼ればいいか確認したい
  • 軽減税率が効いている場合の金額を知りたい
  • 業務委託契約書が継続取引基本契約(第7号)に該当するかチェックしたい
  • 領収書が5万円未満で非課税かどうか判定したい

印紙税とは|契約書・領収書に貼る国税

印紙税とは、契約書・領収書・手形などの「課税文書」を作成したときに課される国税です。文書に収入印紙を貼り、消印を押すことで納付したことになります。

項目内容
課税対象印紙税法 別表第一に掲げる第1号〜第20号の課税文書
納税方法文書に収入印紙を貼って消印
納税義務者文書の作成者(双方作成のときは連帯納付義務)
課税のタイミング文書の作成時

「契約書のタイトル」ではなく文書の内容で課税対象が判定されるのが特徴です。たとえば「業務委託契約書」でも、内容が請負なら課税、準委任なら非課税といった判定が必要になります。

電子契約書・電子領収書は印紙税不要
印紙税の課税対象は紙の文書であり、PDFで発行・授受した電子契約書や電子領収書は印紙税の対象外です(国税庁通達)。電子化することで印紙税のコストと貼り忘れリスクを完全になくせます。

印紙税が課税される主な文書|号別の早見表

ビジネスで頻出する課税文書を号別にまとめると、次のようになります。

号別主な文書税額のタイプ
第1号文書不動産・船舶・航空機などの譲渡契約、土地賃貸借契約、金銭消費貸借契約、運送契約段階課税(200円〜60万円)
第2号文書請負契約書(建設工事、システム開発受託、デザイン受託など)段階課税(200円〜60万円)
第5号文書合併契約書・分割契約書一律 4万円
第7号文書継続的取引の基本契約書(業務委託基本契約・販売代理店契約など)一律 4,000円
第12号文書信託行為に関する契約書一律 200円
第13号文書債務保証契約書一律 200円
第14号文書金銭・有価証券寄託契約書一律 200円
第15号文書債権譲渡・債務引受契約書1万円未満非課税/以上 一律200円
第17号文書領収書(受取書)段階課税(200円〜20万円、5万円未満非課税)

詳細な税額表は国税庁「タックスアンサー No.7140 印紙税額の一覧表(その1・その2)」で確認できます。

なお、株券・手形・定款・預貯金証書・保険証券などの専門領域の文書(第3・4・6・8〜11・16・18〜20号)は本記事では扱いません。

第1号・第2号文書|不動産売買・請負契約の段階税率

第1号(不動産売買等)と第2号(請負契約)は、契約金額に応じた段階課税です。原則税率と、不動産売買契約書・建設工事請負契約書に適用される軽減税率の2つがあります。

重要:第1号文書と第2号文書では、特に100万円以下の税額帯が異なります。第1号は10万円・50万円が区切りなのに対して、第2号は100万円が最初の区切りです。両者を混同しないようご注意ください。

印紙税額表|第1号文書(不動産・船舶・消費貸借・運送 等/原則)

契約金額印紙税額(原則)
1万円未満非課税
1万円以上 10万円以下200円
10万円超 50万円以下400円
50万円超 100万円以下1,000円
100万円超 500万円以下2,000円
500万円超 1,000万円以下10,000円
1,000万円超 5,000万円以下20,000円
5,000万円超 1億円以下60,000円
1億円超 5億円以下100,000円
5億円超 10億円以下200,000円
10億円超 50億円以下400,000円
50億円超600,000円
金額の記載のないもの200円

印紙税額表|第2号文書(請負契約書/原則)

契約金額印紙税額(原則)
1万円未満非課税
1万円以上 100万円以下200円
100万円超 200万円以下400円
200万円超 300万円以下1,000円
300万円超 500万円以下2,000円
500万円超 1,000万円以下10,000円
1,000万円超 5,000万円以下20,000円
5,000万円超 1億円以下60,000円
1億円超 5億円以下100,000円
5億円超 10億円以下200,000円
10億円超 50億円以下400,000円
50億円超600,000円
金額の記載のないもの200円

軽減税率(不動産売買・建設工事のみ|令和9年3月31日まで)

不動産売買契約書(第1号の1)と建設工事請負契約書(第2号) で、令和9年(2027年)3月31日までに作成されるものに限り、租税特別措置法 第91条による軽減税率が適用されます(国税庁「タックスアンサー No.7108 不動産売買契約書・建設工事請負契約書の印紙税の軽減措置」)。

軽減税率の下位帯(100万円〜500万円)は2文書で異なります。100万円台〜500万円台の中規模契約では特に注意が必要です。

不動産売買契約書(第1号の1)の軽減税率

契約金額原則税率軽減税率差額
10万円超 50万円以下400円200円△200円
50万円超 100万円以下1,000円500円△500円
100万円超 500万円以下2,000円1,000円△1,000円
500万円超 1,000万円以下10,000円5,000円△5,000円
1,000万円超 5,000万円以下20,000円10,000円△10,000円
5,000万円超 1億円以下60,000円30,000円△30,000円
1億円超 5億円以下100,000円60,000円△40,000円
5億円超 10億円以下200,000円160,000円△40,000円
10億円超 50億円以下400,000円320,000円△80,000円
50億円超600,000円480,000円△120,000円

※ 10万円以下は原則税率の200円のままで、軽減税率は設定されていません。

建設工事請負契約書(第2号)の軽減税率

契約金額原則税率軽減税率差額
100万円超 200万円以下400円200円△200円
200万円超 300万円以下1,000円500円△500円
300万円超 500万円以下2,000円1,000円△1,000円
500万円超 1,000万円以下10,000円5,000円△5,000円
1,000万円超 5,000万円以下20,000円10,000円△10,000円
5,000万円超 1億円以下60,000円30,000円△30,000円
1億円超 5億円以下100,000円60,000円△40,000円
5億円超 10億円以下200,000円160,000円△40,000円
10億円超 50億円以下400,000円320,000円△80,000円
50億円超600,000円480,000円△120,000円

※ 100万円以下は原則税率の200円のままで、軽減税率は設定されていません。

軽減税率の延長有無に注意
軽減税率の適用期限はこれまで複数回延長されてきましたが、現行は令和9年3月31日までです。期限到来時に再延長されるかは未確定なので、その時点での国税庁公表情報を必ずご確認ください。

第7号文書|継続的取引の基本契約書は一律4,000円

「業務委託基本契約書」「販売代理店契約書」「特約店契約書」などの継続的取引の基本契約書は、第7号文書として一律4,000円の印紙税が課されます。

業務委託契約書は、内容によって 第2号文書(請負)/第7号文書(基本契約)/非課税(準委任) のいずれかに分類されます。判定の流れは次の図のとおりです。

業務委託契約書の印紙税判定フロー。Q1で「成果物の完成・納品を約束する契約か」と問い、YesならQ2をスキップし第2号文書(段階課税)、Noなら次に進む。Q2で「第7号文書の4要件(営業者間・施行令の取引類型・1項目以上記載・期間3か月超または更新規定)をすべて満たすか」と問い、Yesなら第7号文書(一律4,000円)、Noなら準委任契約(非課税)と判定する図

ただし、第7号文書に該当するには 印紙税法施行令 第26条 が定める要件をすべて満たす必要があります。

第7号文書の判定要件(4つすべて満たす場合)

  1. 営業者間の取引であること(個人間や非営業者を含むものは対象外)
  2. 施行令で定める取引類型(売買・売買委託・売買取次・運送・運送取扱・請負またはこれらの委託など)に関する契約
  3. 目的物の種類・取扱数量・単価・対価支払方法・債務不履行時の損害賠償方法・再販価格 のうち1つ以上が記載されていること
  4. 契約期間が3か月を超えるもの、または更新の定めがあるもの

これら4つすべてを満たさない場合は、第7号には該当せず、個別の取引内容に応じて判定されます(請負契約なら第2号、準委任契約なら非課税など)。詳細は国税庁「タックスアンサー No.7104 継続的取引の基本となる契約書」で確認できます。

業務委託契約の判定でつまずいたら
業務委託契約は「請負」「準委任」「基本契約」のどれに該当するかで税額が大きく変わります。判定フローチャート付きの業務委託契約書 専用ページで、自社の契約タイプを確認できます。

第17号文書|領収書は5万円未満が非課税

領収書(受取書)は第17号文書として課税されますが、5万円未満は非課税です。また、売上代金とそれ以外で税額表が異なります。

領収書の印紙税額表(売上代金)

受取金額印紙税額
5万円未満非課税
5万円以上 100万円以下200円
100万円超 200万円以下400円
200万円超 300万円以下600円
300万円超 500万円以下1,000円
500万円超 1,000万円以下2,000円
1,000万円超 2,000万円以下4,000円
2,000万円超 3,000万円以下6,000円
3,000万円超 5,000万円以下10,000円
5,000万円超 1億円以下20,000円
1億円超 2億円以下40,000円
2億円超 3億円以下60,000円
3億円超 5億円以下100,000円
5億円超 10億円以下150,000円
10億円超200,000円
金額の記載のないもの200円

売上代金以外の領収書

借入金の返済、保険金の支払い、損害賠償金の受領など、売上代金以外の領収書については別の税額表(5万円以上は一律200円)が適用されます。詳細は国税庁「タックスアンサー No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書」で確認できます。

売上代金とそれ以外が混在する場合は合計額で判定
1枚の領収書に売上代金と売上代金以外の金額(保証金など)が同時に記載されている場合、5万円未満の非課税判定はそれらの合計額で行います。「売上分は4万円、保証金が2万円だから個別では5万円未満」と判断するのは誤りで、合計6万円として課税対象になる点に注意してください。
営業に関しない領収書は非課税
個人がプライベートで発行する領収書(例:個人間の貸し借りの返済)など、「営業に関しない」領収書は金額にかかわらず非課税です。事業者として発行する領収書は原則「営業に関する」扱いになります。

消費税の取り扱い|区分記載があれば税抜額で判定

契約書・領収書で「消費税額を明確に区分記載」している場合、印紙税の記載金額は税抜額で判定できます(国税庁「タックスアンサー No.7124 消費税額等が区分記載された契約書等の記載金額」)。

例:請負代金 1,000万円 + 消費税 100万円のケース

記載方法印紙税の判定金額印紙税額(第2号 原則)
「請負代金 1,000万円、消費税 100万円」と区分記載1,000万円10,000円
「請負代金 1,100万円(うち消費税相当額100万円)」と区分記載1,000万円10,000円
「請負代金 1,100万円(税込)」のみ記載1,100万円20,000円

同じ取引でも、契約書での消費税の書き方によって印紙税が2倍違うこともあります。消費税は必ず区分記載するのが基本です。

印紙を貼らなかった場合のペナルティ

課税文書に印紙を貼らなかった場合、過怠税として 本来の印紙税額の3倍(本税+本税の2倍)が徴収されます(印紙税法 第20条)。ただし、税務調査前に自主的に申し出た場合は1.1倍に軽減されます。

状況過怠税
印紙を貼らなかった本税 + 本税の2倍 = 本税の3倍
印紙を貼ったが消印を押し忘れた印紙の額面と同額
税務調査前に自主的に申告本税の1.1倍に軽減

詳細は国税庁「タックスアンサー No.7131 印紙税を納めなかったとき」で確認できます。

貼ってしまった印紙の還付
誤って多く貼った印紙や、契約自体が成立しなかった文書に貼った印紙は、還付申請(国税還付)で取り戻せます。郵便局や金券ショップでの引き取りは原則できないため、税務署で還付申請するのが正規ルートです(国税庁「タックスアンサー No.7130 印紙税の還付」)。

よくある質問(FAQ)

業務委託契約書はいくらの印紙が必要?

業務委託契約書は、内容によって請負契約(第2号文書)か準委任契約(非課税)か継続的取引の基本契約書(第7号文書 一律4,000円)に分類されます。

  • 請負契約に該当(成果物の納品を約束するシステム開発受託など):第2号として段階課税
  • 準委任契約に該当(成果物保証なしのコンサルティング・SES契約など):非課税
  • 第7号文書に該当(営業者間で施行令の要件を満たす継続契約):一律4,000円

タイトルが「業務委託契約書」でも内容で判定されます。判定が難しい場合は業務委託契約書ページのフローチャートか、税理士・国税庁にご確認ください。

注文書・注文請書には印紙が必要?

「注文書」単独では原則として印紙税の対象外ですが、「注文請書」のように請負契約の成立を証する文書は第2号文書として課税されます。基本契約に基づく具体的注文の注文書(請書を兼ねないもの)は、原則として課税対象外です。文書の記載内容で判定されるため、ケースごとの判断が必要です。

契約金額を変更する契約書は?

変更契約書の取り扱いは、変更前契約金額が当該契約書から明らかかどうか、および記載方法(変更後の金額が書いてあるか、差額のみか)の組み合わせで決まります。実務でよく出るパターンを整理すると次の4分類になります。

変更前金額記載方法記載金額(印紙税の判定基礎)
明らか(引用記載含む)変更金額(差額)のみ記載増額:差額分/減額:「記載金額のない契約書」として200円
明らか(引用記載含む)変更後の金額のみ記載変更後の金額
明らかでない変更後の金額が記載変更後の金額
明らかでない変更金額(差額)のみ記載変更金額(差額)(増額・減額を問わず)

たとえば「当初契約を20万円減額する」とだけ書いた契約書で変更前金額が明らかでない場合、記載金額は 20万円 として判定されます。「減額だから一律200円」と早合点しないよう注意してください。具体的な判定は国税庁「タックスアンサー No.7123 契約金額を変更する契約書の記載金額」を確認してください。

2通作成した場合、両方に印紙が必要?

契約書を2通作成して双方が原本を保管する場合、それぞれに印紙が必要です(双方とも課税文書)。コピー(写し)には原則として印紙は不要ですが、コピーであっても原本と同等の効力を持つ証明・捺印などが付されている場合は課税対象になるので注意してください。

クレジットカード決済の領収書は?

クレジットカード払いの売上であっても、「現金を受領していない」旨が明記されていれば、領収書としては非課税扱いになります(金銭の受取書に該当しないため)。逆に、その記載がなく現金領収書のように発行すると課税扱いになる可能性があります。

消印は何で押せばいい?

消印は印章(ハンコ)または署名(サイン)で行います。鉛筆書きや単なる線引きでは消印として認められません。

まとめ|印紙税の判定3ステップ

印紙税の判定は、次の3ステップで進めるのが基本です。

  1. 文書が課税文書か(第◯号文書か)を判定:タイトルではなく内容で判定。電子契約・電子領収書は対象外
  2. 記載金額を確認:消費税は区分記載があれば税抜額で判定。第1・2・15号は1万円未満、第17号は5万円未満が非課税
  3. 税額表で金額を確認:第1号・第2号・第17号は段階課税、第5・7・12〜15号は一律。軽減税率(不動産売買・建設工事)の適用要否も確認

印紙の貼り忘れは本税の3倍の過怠税というペナルティがあります。一方、電子化された契約書・領収書は印紙税の対象外なので、電子契約・電子請求書の導入は印紙税対策としても大きな効果があります。

本記事は一般的な解説です
印紙税の判定は、文書の具体的記載内容や複数号への該当(所属決定)などで個別の判断が必要なことが多くあります。重要な契約や高額文書については、税理士または所轄税務署にご相談ください。
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