海外の取引先から「見積書を送ってほしい」と依頼されたとき、英語でどう表記すべきか迷ったことはありませんか?
日本語では「見積書」の一言で済みますが、英語にはQuotation、Estimate、Quote、Proforma Invoiceなど複数の表現があり、それぞれ意味や使う場面が異なります。間違った用語を使うと、取引先に「概算のつもりだったのに確定価格と受け取られた」といったトラブルにもつながりかねません。
この記事では、英語の「見積もり」に関する7つの用語の違いを整理し、実務でどう使い分けるかを解説します。
QuotationとEstimateの違いを一言で言うと
結論から言えば、Quotationは「確定価格の正式な見積書」、Estimateは「概算の見積もり」です。
| Quotation | Estimate | |
|---|---|---|
| 意味 | 確定価格の正式な見積書 | 概算の見積もり |
| 価格変更 | 原則不可(有効期限内) | 変動あり得る |
| 法的拘束力 | 書類名だけでは決まらない | 書類名だけでは決まらない |
| 使う場面 | 正式な発注前の価格提示 | 予算確認・初期相談 |
| 書類タイトル | Quotation | Estimate |
日本の商慣習で使われる「見積書」は、金額を確定して提示するケースが大半です。そのため、日本語の「見積書」は多くの場合Quotationに該当します。
Quotation – 確定価格の正式な見積書
Quotationは、商品やサービスの価格・条件を確定して提示する正式な書類です。
主な特徴は以下のとおりです。
- 価格が確定している。提示した金額は有効期限内であれば原則変更できない
- 契約に近い条件提示として扱われやすい。ただし、法的拘束力が生じるかどうかは、書類名ではなく文言・準拠法・承諾方法によって決まる
- 有効期限(Valid Until / Expiry Date)を明記するのが一般的
- 書類のタイトルには「Quotation」と記載する
Quotationには通常、価格だけでなく支払条件(Payment Terms)、納期、有効期限などの取引条件も記載します。相手にとっては「この条件で発注していいですか?」という最終確認の書類にあたります。
Estimate – 概算の見積もり
Estimateは、おおよその費用を事前に伝えるための書類です。Quotationとは異なり、金額は確定していません。
- 価格は概算であり、最終的に変動する可能性がある
- 一般に概算として使われるが、法的効果は最終的に文言や契約条件による
- 仕様が固まっていない段階や、初回の相談時に提出することが多い
たとえば、Web制作の案件で「だいたいどのくらいかかりますか?」と聞かれた段階ではEstimateを提出し、要件が確定した段階で正式なQuotationを出す、という流れが一般的です。
リフォームや修理など、作業してみないと正確な費用がわからない業種では、最初にEstimateを出して最終金額はInvoice(請求書)で確定させるケースもあります。
Quote – Quotationのカジュアル版
QuoteはQuotationの省略形で、意味は同じです。
QuoteはQuotationのカジュアルな言い方として広く使われます。メールや会話では「Can you send me a quote?」のような表現が自然で、Quotationはややフォーマルな印象です。
書類タイトルとしてはQuotationもQuoteも見かけますが、迷ったらQuotationを選ぶと無難です。メールではQuote、書類タイトルではQuotation、という使い分けで覚えておくと実務上わかりやすいでしょう。
Proforma Invoice – インボイス形式の見積書
Proforma Invoiceは「仮のインボイス(送り状)」を意味し、正式な請求書(Commercial Invoice)とは異なります。
見た目はInvoice(請求書)に近い書式ですが、実際の請求ではなく、以下のような場面で使われます。
- 輸出入取引: 商品内容・価格・取引条件を事前に詳しく示したいとき
- 信用状(L/C)の申請: 銀行にProforma Invoiceを提出して信用状を開設する
- 前払い送金: 送金手続きの根拠書類として求められる
Proforma Invoiceは、QuotationをInvoice形式でより詳細に表した書類と考えるとわかりやすいです。輸出実務では、初期の見積段階からProforma Invoiceを使うこともあります。
なお、通関で一般に使われる主文書はCommercial Invoiceです。Proforma Invoiceだけで通関できるとは限りません。
また、一部の国では、輸入許可やL/C開設のためにProforma Invoiceが求められることがあります。取引先の国の慣習や必要書類を事前に確認しておくと安心です。
Bid・Proposal・Tender – 入札・提案系の用語
英語には見積書と混同されやすい用語がほかにもあります。ここでは入札・提案に関する3つの用語を整理します。
| 用語 | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|
| Bid | 入札価格の提示 | 競争入札(建設、公共事業など) |
| Proposal | 提案書(価格+提案内容) | コンサルティング、IT開発など |
| Tender | 公的な入札・入札書類一式 | 政府調達、公共事業(イギリス英語で多用) |
これらは「価格を提示する」という点ではQuotationと共通しますが、競争入札や提案を伴う場面で使われる点が異なります。
通常の商取引で取引先に見積書を送る場面では、Quotation(またはEstimate)を使えば問題ありません。
実務での使い分けフロー

海外取引における書類の流れは、一般的に以下のステップで進みます。
Estimate(概算)→ Quotation(正式見積)→ Purchase Order(発注書)→ Invoice(請求書)
- Estimate: 取引先から問い合わせを受け、概算の費用感を伝える
- Quotation: 仕様・条件が固まったら、確定価格を正式に提示する
- Purchase Order: 取引先がQuotationを承諾し、発注書を発行する
- Invoice: 納品後(または契約に基づいて)請求書を発行する
日本企業が「見積書」として作成している書類は、このフローの2. Quotationに該当するケースがほとんどです。
概算段階を挟まずに最初からQuotationを出すことも多く、その場合はEstimateのステップは省略されます。
国・地域による慣習の違い
同じ英語圏でも、国や地域によって好まれる用語や慣習が異なります。
アメリカ
EstimateやQuoteが日常的に使われます。Quotationも通じますが、ややフォーマル寄りの表現として受け取られることがあります。
イギリス
Quotationという表現がよく使われます。公共調達ではTenderという用語も一般的です。
アジアの一部地域
国によっては、輸入許可申請やL/C開設のためにProforma Invoiceを求められることがあります。取引先から「Proforma Invoiceを送ってほしい」と言われたら、見積条件を詳しく示す書類を求められている可能性があります。
日本
日本語の「見積書」にはQuotationを当てるのが最も自然です。海外向けの書類タイトルには「Quotation」と記載するのが無難です。
日本企業が海外向けに正式な見積書を出すならQuotationが無難
ここまで7つの用語を解説してきましたが、「結局どれを使えばいいのか」と迷う方も多いでしょう。
結論としては、日本企業が海外取引で見積書を出すなら、Quotationを選ぶのが無難です。
理由はシンプルです。
- 正式な書類として世界的に通用する
- 取引先が「見積書」として期待する書式に最も近い
- 多くの見積書作成サービスでも「Quotation」が標準タイトルとして採用されている
もちろん、取引先から「Estimateで送ってほしい」と指定された場合は、それに合わせる柔軟さも大切です。相手の求めるフォーマットに合わせることが、スムーズな取引の第一歩になります。
PASELLYで英語の見積書を作成する
QuotationとEstimateの違いが整理できたら、実際に英語の見積書を作成してみましょう。
PASELLYなら、PDFの言語を切り替えるだけで、書類のタイトルや項目名が自動で英語に変換されます。もちろん、見積書のタイトルは「Quotation」が適用されます。
項目名の英語表記を一つずつ調べて置き換える手間がなく、日本語で書類を作成するのと同じ感覚で英語の見積書を作成できます。
英語の見積書テンプレートを見てみる → PASELLYの英語見積書テンプレート
見積書の各項目名の英語表記については「英語の見積書の項目名一覧」、支払条件の書き方は「支払条件の英語表現まとめ」もあわせてご覧ください。
用語選びで知っておきたいポイント
QuotationとEstimateを比べると、一般にQuotationの方が正式な価格提示として使われます。ただし、書類名だけで法的拘束力が決まるわけではなく、実際には文言や契約条件によります。日本の商慣習における「見積書」は確定金額を提示するケースが大半なので、英語ではQuotationが適切です。仕様が固まっていない概算段階ではEstimateを使います。
QuoteはQuotationのカジュアル版で、意味はほぼ同じです。メールや会話ではQuote、書類タイトルにはQuotationと使い分けるのが自然です。
Proforma Invoiceは見積書と完全に同じではなく、見積条件をInvoice形式で詳しく示す書類です。L/C開設や送金手続きなど国際取引で求められることがありますが、通常の通関ではCommercial Invoiceが使われます。
Quotationの法的拘束力は国や契約条件によって異なります。リスクを避けたい場合は「This quotation is not a binding contract until a formal agreement is signed.」のような免責文言を記載しておくと安心です。












