韓国向け見積書のビジネス慣習ガイド — 電子税金計算書・VAT・敬語のルール

韓国の取引先と見積書をやり取りするとき、日本と同じ感覚で進めると思わぬところで戸惑うことがあります。税金の計算書が請求書を兼ねていたり、敬語のレベルを間違えると失礼にあたったり——。この記事では、韓国とのビジネスで知っておくべき商慣習を実体験も交えてまとめました。

電子税金計算書(전자세금계산서)— 韓国版インボイス制度

韓国のB2B取引で最も重要な書類が電子税金計算書(전자세금계산서)です。

日本では見積書→請求書→支払いという流れが一般的ですが、韓国ではVAT課税取引において電子税金計算書の発行が義務付けられており、別途請求書を出さない企業も多いです。そのため、韓国の取引先から日本式の「請求書」が届かないことがあります。

電子税金計算書の特徴

  • 2011年から法人に義務化(日本のインボイス制度より10年以上先行)
  • 発行された計算書は国税庁(홈택스 / HomeTax)に原則即時伝送される(法定期限は発行日の翌日まで)
  • 個人事業者も一定売上以上は発行義務あり
  • 不備があると加算税の対象になる

必須記載事項

項目韓国語
供給者の事業者登録番号공급자 사업자등록번호
供給者の氏名・名称공급자 성명/명칭
供給を受ける者の登録番号공급받는자 사업자등록번호
作成年月日작성연월일
供給価額공급가액
付加価値税額부가가치세액

見積書の段階では電子税金計算書は発行しませんが、見積書に記載した金額・条件がそのまま税金計算書に反映されるため、供給価額と税額を分けて記載しておくと後工程がスムーズです。

付加価値税(부가가치세)10%

韓国の付加価値税(VAT)は一律10%です。日本の消費税と税率は同じですが、書類上の扱いが異なります。

日韓の税表記の違い

日本と韓国の見積書・税制の違い比較表

韓国の見積書では「공급가액(供給価額)」と「세액(税額)」を分けて書くのが標準です。例えば100万ウォンの商品なら:

  • 供給価額: ₩1,000,000
  • 税額: ₩100,000
  • 合計: ₩1,100,000

日本の「税込1,100,000円」と同じ金額ですが、書類上のフォーマットが異なるので注意してください。

PASELLYの韓国語見積書テンプレートを見てみる →

事業者登録番号の確認

韓国企業との取引では、相手の事業者登録番号(사업자등록번호)を確認しておくことが推奨されます。

  • 10桁の番号(XXX-XX-XXXXX形式)
  • 国税庁が全事業者に発行(日本のインボイス登録番号と違い、任意登録ではない)
  • 廃業していないかオンラインで確認可能

取引開始前に番号の有効性を確認しておくと、後続の税金計算書の発行もスムーズです。

韓国語の敬語ルール

韓国のビジネス文書では、敬語のレベルを間違えると非常に失礼にあたります。

ハムニダ体が基本

韓国語には複数の敬語レベルがありますが、見積書やビジネスメールではハムニダ体(〜합니다)を使います。カジュアルなヘヨ体(〜해요)はビジネス文書では使いません。

場面適切な表現NG
見積書の本文〜합니다 / 〜드립니다〜해요 / 〜예요
メールの宛名귀사(貴社)/ 〜님(〜様)呼び捨て
担当者への敬称김부장님(金部長様)김부장(敬称なし)

よく使う敬称

韓国語意味使い分け
귀사(キサ)貴社企業宛
귀하(キハ)貴下個人宛
귀중(キジュン)貴中団体・部署宛
〜님(ニム)〜様人名に付ける

【実体験コラム】大量発注したら「おまけ」が届いた話

少し余談ですが、韓国との取引で実際に起きたエピソードを紹介します。

日本から韓国の業者にまとまった数のiPhoneケースを発注したときのこと。届いた荷物を開けてみると、注文していない充電器やディスプレイフィルムが一緒に入っていました。

これは韓国でいう「서비스(ソビス)」——いわゆる「おまけ」です。韓国では大口注文に対しておまけを付ける商慣習が根強く、飲食店でもサイドメニューが無料で出てくることがあるように、ビジネスの場面でも同様のことが起こります。

ありがたい反面、日本側としては困ることもあります。

  • 見積書にも税金計算書にも載っていない物品が届く
  • 仕入れ計上はどうする?(無償でも受贈益として処理すべきケースがある)
  • 通関申告は?(無償の貨物でも税関への課税価格申告が必要)
  • 関税は?(無償でも課税価格の申告は必要。ただし課税価格合計1万円以下は原則免税)

韓国の付加価値税法では、事業用資産の無償譲渡は「みなし供給(간주공급)」として課税対象になりうる一方、販促目的の少額景品は例外とされるケースもあり、グレーゾーンが残ります。

「おまけ」は嬉しいですが、事前に「おまけが入る可能性があるか」を確認し、ある場合は見積書にその旨と概算価値を記載してもらうのがベストです。後々の税務・通関処理がスムーズになります。

PASELLYで韓国語の見積書を作成する

PASELLYでは、韓国語の見積書テンプレートを無料でご利用いただけます。項目名は自動で韓国語に切り替わり、KRW(₩)にも対応。韓国の取引先にすぐ送れるPDFを作成できます。

韓国語の見積書を作成する →

関連記事