ChatGPTで請求書を作成する方法 – プロンプト例付き

「ChatGPTで請求書って作れるの?」という疑問を持つ方は多いでしょう。結論から言えば、ドラフト(下書き)としてなら十分に実用的です。ただし、そのまま取引先に送れるかどうかは別の話です。

この記事では、ChatGPTで請求書を実際に作成する手順を、コピペで使えるプロンプト例とともに解説します。できること・できないこと・注意点を具体的に整理するので、試す前の判断材料にしてください。


ChatGPTで請求書は作れるのか — 結論

できること:
– 請求書として妥当な構成・項目を持つテキストを生成する
– 品目・金額・税率から小計・消費税・合計を計算する
– ビジネス上適切な文面(備考、支払条件等)を提案する
– 英語・中国語など多言語での請求書ドラフト生成

できないこと・苦手なこと:
– 帳票品質のPDFを安定して発行すること(ファイル生成機能はあるが、レイアウト崩れ等が起きやすい)
– 適格請求書の登録番号の正確性を保証すること
– 自社のロゴ・印鑑を入れたレイアウト済み書類の安定出力
– 過去の請求履歴を踏まえた一貫性のある番号管理

つまり、ChatGPTは「請求書の中身を考えてくれるアシスタント」であり、「請求書発行システム」ではありません。


基本プロンプトの書き方

最低限のプロンプト

以下の情報を与えれば、ChatGPTは請求書の形式で出力してくれます。

以下の情報で請求書を作成してください。

■ 請求書情報
請求書番号: INV-YYYY-001
発行日: YYYY年MM月DD日

■ 発行者
会社名: 株式会社サンプルテック
住所: 東京都渋谷区○○1-2-3
登録番号: T1234567890123

■ 請求先
会社名: 株式会社クライアント
担当者: 田中太郎 様

■ 請求内容
品目: Webサイト制作費
数量: 1
単価: 500,000円
消費税率: 10%

■ 支払条件
支払期限: YYYY年MM月末日
振込先: ○○銀行 △△支店 普通 1234567

日本のインボイス制度(適格請求書)の記載要件を満たす形式でお願いします。

ChatGPTの出力例

上記プロンプトに対して、ChatGPTは以下のような形式で出力します:

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
請 求 書
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

請求書番号: INV-YYYY-001
発行日: YYYY年MM月DD日

【発行者】
株式会社サンプルテック
東京都渋谷区○○1-2-3
登録番号: T1234567890123

【請求先】
株式会社クライアント
田中太郎 様

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
品目 数量 単価 金額
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Webサイト制作費 1 ¥500,000 ¥500,000
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

小計(税抜): ¥500,000
消費税(10%): ¥50,000
合計: ¥550,000

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【お支払いについて】
お支払期限: YYYY年MM月末日
振込先: ○○銀行 △△支店 普通 1234567
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


より実用的なプロンプト — 複数品目・軽減税率対応

実際の請求では品目が複数あったり、軽減税率が混在したりします。

以下の情報で適格請求書を作成してください。
税率ごとに区分して対価の額と消費税額を表示してください。

■ 発行者
会社名: 株式会社フードデリバリー
登録番号: T9876543210123

■ 請求先
株式会社オフィスサービス 御中

■ 明細
1. ケータリング(食品): 30,000円 × 1回 [軽減税率8%] 2. 配送料: 5,000円 × 1回 [標準税率10%] 3. 会場設営費: 20,000円 × 1回 [標準税率10%]

■ 支払条件
月末締め翌月末払い

このプロンプトのポイント

  • 「税率ごとに区分して」と明示的に指示する。指示しないと、全品目を一括で計算してしまう場合がある
  • 品目ごとに税率を [ ] で明記する。ChatGPTが判断に迷わないようにする
  • 「適格請求書」というキーワードを入れることで、インボイス制度の記載要件を意識した出力になりやすい

GPTストアの請求書専用GPTを使う方法

GPTストアで公開されている請求書作成に特化したカスタムGPTを利用できます(無料ユーザーでも一部利用可能ですが、利用回数や機能に制限があります)。

代表的なカスタムGPT

  • Invoice Generator GPT(HubSpot) — 対話形式で情報を聞き取り、請求書を生成
  • AI Invoice Generator — ビジネス情報を一度登録すれば、以降は簡単な指示で生成可能

カスタムGPTを使うメリット

  • プロンプトを毎回書かなくてよい(対話形式で案内してくれる)
  • ビジネス情報を記憶させられる(毎回入力不要)
  • 出力フォーマットが安定しやすい

カスタムGPTの注意点

  • 日本のインボイス制度を前提としていないものが多い
  • 出力フォーマットはGPTごとに異なる
  • データがOpenAIのサーバーに送信される点はChatGPT本体と同じ

ChatGPT請求書作成のTips

1. 出力形式を指定する

テキスト以外の形式が欲しい場合は明示的に指示します。

上記の請求書をMarkdownのテーブル形式で出力してください。

上記の請求書をCSV形式で出力してください。Excelに貼り付けて使います。

CSV形式で出力させれば、Excelやスプレッドシートに貼り付けて整形できます。

2. 英語の請求書を作る

以下の情報で英語のInvoiceを作成してください。通貨はUSDで。

From: Sample Tech Inc.
To: Client Corp.
Item: Website Development
Amount: $5,000
Payment Terms: Net 30

3. 過去の請求書を踏襲させる

前回と同じフォーマットで、以下の内容だけ変えて請求書を作ってください。
– 請求書番号: INV-YYYY-006
– 品目: 6月分保守運用費
– 金額: 100,000円
– 請求日: YYYY年MM月1日

同一チャットスレッド内であれば、過去の出力を参照して形式を揃えてくれます。

4. チェックリストを出力させる

この請求書が日本の適格請求書(インボイス)の要件を満たしているか、
チェックリスト形式で確認してください。

生成後に自己チェックさせることで、記載漏れに気づきやすくなります(ただし最終判断は人間が行う必要があります)。



実際にChatGPTで請求書を作ってみた

ここまで解説した内容を踏まえて、実際にChatGPTに請求書を作らせてみました。

ステップ1: プロンプトを入力

記事で紹介したプロンプトをそのまま入力しました。

ChatGPTに請求書作成プロンプトを入力した画面

ChatGPTに請求書作成プロンプトを入力した画面

ステップ2: ChatGPTがPDFを生成

ChatGPTはプロンプトを解釈し、思考時間1分9秒をかけてPDFファイルを生成してくれました。

ChatGPTが請求書PDFを生成しダウンロードリンクを提示した画面

何か色々考えてくれている

ステップ3: 生成結果を確認

ダウンロードしたPDFがこちらです。

ChatGPTが生成した請求書PDF

ChatGPTが生成した請求書PDF

一見それらしい請求書が出来上がりました。インボイス制度の記載要件(登録番号、税率別内訳)も意識した構成にはなっています。

・・・が、見た目はやや崩れています。

このままでは実務では使えません。レイアウトの微調整、フォントの問題、項目の正確性の確認など、結局は人間の手を入れる必要がありました。「ドラフトとしては優秀だが、完成品として仕上げるには調整がかなり必要」というのが率直な感想です。

PDFを自力で仕上げるには

ChatGPTが生成するPDFは帳票品質には達しないため、実務では別の方法で仕上げる必要があります:

ChatGPT請求書作成の限界と注意点

計算ミスに注意

ChatGPTは計算を「推論」で行っているため、特に以下のケースでミスが起きやすいです:

  • 品目数が多い場合(10品目以上)
  • 端数処理が必要な場合(消費税の1円未満切り捨て等)
  • 割引率の適用

対策: 金額の計算部分は必ず電卓やスプレッドシートでダブルチェックしてください。

登録番号の正確性

ChatGPTに「適格請求書発行事業者の登録番号を入れて」と指示しても、正しい番号を知っているわけではありません。必ず自分で正確な番号を入力してください。

存在しない番号をそれらしく生成してしまうリスクがあるため、登録番号は絶対にAIに「考えさせない」ことが重要です。

データの取り扱い

  • ChatGPTに入力した情報はOpenAIのサーバーに送信されます
  • 個人向けプランでは、設定次第でモデル改善に利用される可能性があります(Data Controlsからオプトアウト可能。Temporary Chatを使う方法もあります)
  • 顧客情報や取引金額の機密性が高い場合は、ChatGPT Business / Enterprise(入力データがモデル学習に使用されない)の利用を検討してください

ChatGPTと請求書作成ツールの使い分け

観点ChatGPT請求書作成ツール
導入コスト無料〜$20/月無料〜月額数千円
PDF出力不安定(帳票品質の安定発行は困難)可
請求書番号の自動採番不可可
顧客情報の管理標準チャットでは毎回入力(カスタムGPTで一部記憶可)可
インボイス制度対応手動確認が必須対応済みのツールあり
送付・保管手動自動化可能
柔軟性非常に高いテンプレートに依存

ChatGPTが向いているシーン:
– 月1〜2件の不定期な請求
– 初めての取引で「どう書けばいいか」を考えたいとき
– 英語など外国語の請求書ドラフト
– 既存の請求書のレビュー・改善提案

請求書作成ツールに移行すべきシーン:
– 月3件以上の定期的な請求がある
– 請求書番号の連番管理が必要
– PDFでの送付が必要
– 過去の請求履歴を管理したい


まとめ

ChatGPTでの請求書作成は「中身のドラフト生成」としては非常に実用的です。特にプロンプトの工夫次第で、適格請求書の要件を意識した出力も可能です。

ただし、以下の点は人間の責任で確認・補完する必要があります:

  • 計算の正確性(特に消費税の端数処理)
  • 登録番号の正しさ
  • インボイス制度の記載要件の充足
  • PDF化・送付・保管のフロー

まずは1件、この記事のプロンプトをコピペして試してみてください。「ああ、こういう使い方ができるのか」でも実際に業務に入れるのはかなり難しい・・・と実感できるはずです。


この記事の内容は執筆時点の情報をもとにしています。ChatGPTの機能・仕様は頻繁に更新されるため、最新の状態は公式サイトで確認してください。