中国の取引先と見積書をやり取りするとき、日本とは異なるビジネス慣習に戸惑うことがあります。
増値税(增值税)の扱い、通貨表記のルール、印鑑(公章)の重要性、交渉スタイルの違いなど、書類作成の前に知っておくべきポイントがあります。
この記事では、中国向けの見積書を作成する日本企業が押さえておくべきビジネス慣習を整理しました。見積書のフォーマット自体はPASELLYの中国語テンプレートで作成できるので、本記事では書類の中身よりも商慣習の違いに集中します。
増値税(增值税 / VAT)の基礎知識
中国には日本の消費税に相当する増値税(增值税 / Value Added Tax)があります。
税率一覧
| 税率 | 対象業種 |
|---|---|
| 13% | 製造業、物品販売(一般的な商品) |
| 9% | 建設、不動産、運輸、農産物 |
| 6% | サービス業(コンサルティング、IT、金融等) |
| 0%(零税率) | 輸出貨物(原則) |
※ 輸出の零税率は一律適用ではなく、品目や取引形態によって退免税の扱いが異なります。詳細は税務専門家に確認してください。
含税 vs 不含税
中国の取引先からは必ず「含税价还是不含税价?(税込みですか、税抜きですか?)」と確認されます。見積書には明記してください。
「税込み価格の場合」:
本报价为含税价格(增值税13%)。
(本見積は税込み価格です(増値税13%))
「税抜き価格の場合」:
本报价为不含税价格,增值税另计。
(本見積は税抜き価格です。増値税は別途計算します)
增值税发票(発票)とは
中国の发票(ファーピャオ)は、日本の「請求書」とは性質が異なります。税務当局が管理する公式な税務証憑で、取引の証明と税額控除に使われます。
| 日本の請求書 | 中国の发票 | |
|---|---|---|
| 発行者 | 売り手が自由に発行 | 税務当局の管理下で発行(専用システム使用) |
| フォーマット | 企業ごとに異なる | 国が統一フォーマットを規定 |
| 用途 | 支払い請求 | 税額控除の根拠 + 支払い請求 |
| 種類 | 1種類 | 增值税专用发票(通常の控除用)/ 增值税普通发票(一般的には控除不可だが例外あり) |
見積書(报价单)は发票ではないため、PASELLYで作成する报价单で問題ありません。中国国内取引では、売り手が税務システム(開票システム)で发票を発行します。越境取引では发票が発行されないケースもあります。
通貨と金額表記

¥記号の混同に注意
日本円と中国元は同じ ¥ 記号を使います。見積書では必ず通貨コードを明記してください。
| 表記 | 意味 | 推奨度 |
|---|---|---|
| ¥100,000 | 日本円?中国元?不明 | 使わない |
| CNY 100,000 | 中国元(ISO通貨コード) | 推奨 |
| RMB 100,000 | 人民元 | 推奨 |
| JPY 100,000 | 日本円 | 推奨 |
金額の大写(大字)
中国の正式な金融書類では、金額を大写(大字 / 漢数字の正式表記)で書く慣習があります。
| 数字 | 通常 | 大写 |
|---|---|---|
| 0 | 零 | 零 |
| 1 | 一 | 壹 |
| 2 | 二 | 贰 |
| 5 | 五 | 伍 |
| 10 | 十 | 拾 |
| 100 | 百 | 佰 |
| 1000 | 千 | 仟 |
| 10000 | 万 | 万 |
見積書では通常の数字表記で問題ありませんが、契約書や发票では大写を求められることがあります。
印鑑(公章)の文化
中国のビジネスでは公章(gōng zhāng / 会社印)が非常に重要です。日本以上に印鑑文化が根付いています。
印鑑の種類
| 種類 | 中国語 | 用途 |
|---|---|---|
| 公章 | 公章 (gōng zhāng) | 最も重要な会社印。契約書・公文書に使用 |
| 財務章 | 财务章 (cái wù zhāng) | 銀行取引・財務関連書類 |
| 発票専用章 | 发票专用章 | 发票(税務証憑)の発行時に使用 |
| 合同専用章 | 合同专用章 | 契約書専用の印鑑 |
| 法定代表人章 | 法定代表人章 | 代表者の個人印 |
見積書に公章は必要?
見積書(报价单)に公章は必須ではありませんが、あると信頼性が増します。特に初回取引では、公章付きの見積書を送ると相手の安心感が違います。
PASELLYでは印鑑画像をPDFに表示できるので、会社印を登録しておくと便利です。
交渉スタイルの違い
値引き交渉は前提
中国のビジネスでは、見積書の金額は交渉のスタート地点です。日本では提示価格がそのまま最終価格になることが多いですが、中国では値引き交渉が入ることを前提に価格設定する必要があります。
関係構築(关系 / guān xì)
中国ビジネスでは「关系(グアンシー / 人間関係)」が重視されます。初回取引では、見積書を送る前にオンラインミーティングや会食を通じて関係を構築するステップが入ることが多いです。
WeChat(微信)でのやり取り
中国のビジネスコミュニケーションではWeChat(微信 / ウィーチャット)が広く使われています。メールよりもWeChatで見積書PDFを送る方がレスポンスが早いケースもあります。
PASELLYで中国語の見積書を作成する
PASELLYでは、PDFの言語を中国語(簡体字)に切り替えると、書類タイトルや項目名のラベルが自動で中国語に変わります。通貨もCNY(人民元)に設定可能です。
中国語の見積書テンプレートを見てみる → PASELLYの中国語見積書テンプレート









